昭和16年太平洋戦争が始まる年の東京帝国ホテルのメニューである。この年がどんな年だったかというと、メニューと同じ2月に上野動物園ではエサ不足が理由で余剰動物の処分が始まっている。同年4月には米の配給制度が開始される。そんな年である。
メニューにはAとBの2種類のディナーが載っている。値段は3円50銭と5円である。この値段が当時としてはどのくらいの価値をもつかを正確には計算できないが、昭和16年当時米10kgは3円25銭であった。当時超一流のホテルであった帝国ホテルのディナーが米10kgとほぼ同じというのは、なんだか安すぎるような気もするが、意外と当時のお米の価値は今よりもっと高かったのかもしれない。
メニューはなぜか英語混じりのフランス語で書かれ(敵性語の自主規制はまだ始まっていない)、”フィレミニヨンの網焼き狩人風”という一品もあり、なかなか洒落てはいる。
これと同じメニューを現在の帝国ホテルで注文すると幾らくらいになるだろうかなどと考えると、ちょっと面白い。
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