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バレエ漫画集1 山内竜臣『赤い靴』
1954年6月発行 トモブック社
値段:25,000円 売切

 

金の特色(特練色)を加えた5色印刷を使用した美しいカバー。

 

 今回はトモブック社発行の山内竜臣『赤い靴』です。

 作者の山内竜臣のことはほとんど分かりません。昭和29年頃から昭和30年代末期まで、少年雑誌や少女雑誌で主に児童向けの漫画を発表していました。名義的には山内竜臣もしくは山内たつみの2種類だと思われます。ただし昭和29年より前には名前を見かけたことがありません。唐突に出てきて矢継ぎ早にいろんな雑誌でいろんな漫画を執筆したという印象があります。ひょっとしたら29年より前は他のペンネームだったのかも知れません。

 今回の『赤い靴』はトモブック社バレエ漫画集の第1巻になります。発行は昭和29年の6月ですので、山内竜臣としてはごく初期の物と推測されます。でも絵はもの凄く完成されております。

 バレエ漫画集1となっておりますが、2巻目に同じ山内竜美で『火の鳥』が出ていただけで、それ以降は刊行されなかったようです。

 今回の商品のお薦めどころはカラーの美しさと装丁のコダワリです。基本データはA5サイズハードカバー、本文112ページ(表紙や扉などを含めたページ数は126ページ)、当時の定価160円です。

 全体126ページのうち、4色カラーは33ページ(表紙裏表紙含む)あります。それ以外の本文ページも全て2色カラーで印刷されております。更にカバーには金の特色(特練色)を使用した5色印刷が行われるという、当時としてはかなりこだわった装丁です。しかも驚くことに見返し紙(表紙と本体をつなぐ紙)にまで4色カラーが使用され前見返しと後ろ見返しで図柄までもが違います。ここまでのこだわり方には頭が下がります。

 内容的にはアンデルセンの「赤い靴」の翻案物です。「赤い靴」には良くありますが、原作での首切り役人による足首の切断は描かれておりません。原作の内容から比べればかなりページ数は多めなので、かなり思い切った翻案がなされております。

 本のコンディションは非貸本、カバー少スレ、本体わずかにシミがありますが、サケなどもなく並上クラスです。

 

 

 

見開きの口絵。グラデーションも美しい仕上がりです。

最終ページ天上に召されるシーン。こちらも見開き4色カラー。

4色カラー以外の本文も全て2色カラー印刷。

見返し部分も4色カラー印刷。劇場の緞帳が上がるシーンです。こちらは前見返しで、後ろ見返しはまた別な図柄です。

 

東京都公安委員会許可第301020205392号 書籍商 代表者:藤下真潮